【生産者の声】常呂町玉葱振興会青年部 山口翔史さん

  令和4年12月に創立から満50年を迎えた常呂町玉振興会葱青年部第21代部長の山口翔史さん。部長就任から2年目、玉葱振興会青年部(以下、玉青※タマセイ)の活動を通して、日夜「美味しい玉ねぎづくり」に懸命な生産者の声をお届けします。

常呂町玉葱振興会青年部 部長の山口翔史さん

私は常呂町出身で、就農してから令和5年で11年目、現在は経営者として妻と妻の両親とともに農業を営み、主に玉ねぎ・馬鈴しょ・小麦・てん菜を栽培しています。

私たちが作る常呂町産の玉ねぎの特徴は、なんといっても長期間瑞々しく美味しさを保つ品質の良さ。栽培に適した冷涼な気候と豊かな土壌、長年培ってきた適期作業などの栽培ノウハウが「美味しい常呂町産玉ねぎ」を支えています。

◆常呂町玉葱振興会青年部◆

令和5年2月に上梓した常呂町玉葱振興会青年部 設立50周年記念誌

玉青こと常呂町玉葱振興会青年部は昭和47年(1972年)12月に設立し、年齢として数えると「満50才」という大きな節目を迎えた歴史ある組織です。主に経営者で組織する「玉葱振興会」に対し、「玉青」は経営者のもとで農業を学んでいる子弟を中心とした若手農業者で構成していて、玉葱振興会が親だとすると、玉青は子の関係性でしょうか。常呂町内の地域を越えて交流することができ、部員同士が切磋琢磨して技術を磨く場でもあります。

設立当時は、まだ確立された栽培技術が少なく、玉青が中心となって試行錯誤しながら試験や調査活動を行っていたと聞いています。これまでの玉青活動を通して、黎明期に培ってきた試験結果が、今日の「高品質な常呂町産玉ねぎ」の基礎となる技術に繋がっていることがわかりました。問題意識をもっていち早く取り組んできた諸先輩方の功績に、心から感謝しています。

今年は、化学肥料を減らして環境に配慮した土づくりを実践しつつ、昨今の肥料高騰に対応するため少しでもコスト低減につながる成果が残せるよう、生産者の協力で畑をお借りし、春からの試験栽培を計画しています。

◆消費者を知ることはモチベーションになる◆

私には就農前に飲食関係で働いていた経験があります。実際にお客さんが食べているところを目にするのは、調理する側の人間としてとても楽しい経験でした。「消費者を知る」ことは、長い期間を通して種から大切に作物を育てている私たち農業者にとって、大きなモチベーションになりますし、「おいしい」と言って食べてもらうことで報われる瞬間でもあります。
しかし近年のコロナ禍によって、そうした機会も大きく減ってしまいました。

2月中旬の厳寒期から玉ねぎの苗づくりが始まります。ビニールハウス内に種と土を詰めた育苗ポットを敷き詰める作業。「機械で省力化された分、ハウス内の整地により気を遣うようになりました」と山口さん。丁寧な仕事の積み重ねが、その後の作業に大きく影響します(R5.2撮影)

共に農業を営む妻の英里さん 種入れ機に玉ねぎ専用の土をセットします(R5.2撮影)

ポットに1粒ずつ種を落とし、上から土をかぶせます。総量で1枚当たり2.2㎏の重さに!

そこで、玉青50周年の記念事業の中で、子供たちの食育活動に携わったり、社会活動が停滞していたことによる「高品質な常呂町産玉ねぎ」の全国的な認知度を向上させる取り組みができないかと計画中です。
後輩たちにも、消費者の皆さんや子供たちと接する機会を多く体験し、「品質の良い玉ねぎを届けよう!」という意欲と、産地としてのプライドをもって、これからの農業に取り組んでほしいと思います。

◆「自分もこうなりたい」頼りになる存在に◆

年若い玉青部員たちには、会議室で知識を身に着けることも大切なことではありますが、できるだけ畑での実践的な経験を通して農業への理解を深め、一生の仕事として農業を営む自信を持ってもらう場になればと考えています。また、部員同士が地域を越えて気軽に相談し合ったり、時には競争意識を持ったり…そんな関係性を築いてほしいですね。
私にも頼りになる地域の先輩がいて、農業以外の事にもよく相談に乗ってもらいましたし、「自分もこうなりたい」という手本の存在です。先輩が私にしてくれたように、私も次世代を担う後輩たちの力になる存在となって恩返しができればと思っています。

玉葱振興会役員としても活動する山口さん(中央) 振興会が主催する出荷に向けた早生品種の目慣らし会で、他の役員・JA職員と収穫した玉ねぎの品質を確認します(R4.7撮影)

◆玉葱青年部から新しい技術発信を◆

玉葱振興会は「玉青だから失敗してもいいんだよ」と、私たちの活動を理解し支援してくれています。だからこそリスクを恐れず挑戦し、その結果「良かったこと」「悪かったこと」の実践経験によって技術を学んでいます。
そうした玉青の活動を応援してくれている振興会をはじめ他の生産者のためにも、常呂町産玉ねぎの更なる品質向上と技術の進歩に繋がる新しい技術を、玉青から発信することが今後の活動目標です。

作業機械で玉ねぎの根を切り、畑でよく乾燥させます。「畑をよく見て適期作業することが良い玉ねぎづくりに繋がります」と山口さん(R4.8撮影)

JAところホームページ information

動画内には山口さんが根切り作業をしている様子も!

  • 玉ねぎカレンダー

玉しまりに優れ瑞々しく長期保存可能な高品質が自慢(写真はJAところYES!clean専用箱 側面にはカーリングの聖地・常呂町にちなんだ柄が入っています)